研究室配属希望者へ

H31年度卒業研究配属について [重要]

対象者:本学 II類に所属し,卒研着手条件を満たす学部3年生

以下の日程で研究室説明会を行います.ここで研究室の概要や研究室の内容を紹介しますので,本研究室に興味のある学生はいずれかに参加して下さい.また,研究室説明会で面談希望者全員に対して,面談の日程を決めます.面談では研究室の詳細を説明する時間はないので,順序としては,研究室説明会の後に面談と考えて下さい.説明会に参加出来なかった学生については,別途,連絡をくれれば,日程を調整します. 当研究室では配属に面談が必須となります.

研究室説明会(2回開催しますが、内容は同じなので都合が良い方で参加して下さい.)
【1回目】
日時:2018年11月 6日(火)10:40〜
開催場所:東3号館707ゼミ室(松浦研の研究室,実験室とは異なるので注意)
【2回目】
日時:2018年11月14日(水)13:00〜
開催場所:東3号館601号室(松浦研の研究室,実験室とは異なるので注意)

所要時間:40分程度
内容:研究室の概要,研究内容,面接日の決定など.
備考:2018年11月25日(日)の11:00〜16:00には東10号館323号室で研究室公開も行ってます.ここでも面接の日程調整や実験室の見学が出来ますが,一般向けへの公開なので研究室のことをよく知りたい方は研究室説明会への参加を薦めます.

研究室について

日頃,TVでオリンピックやワールドカップなどのスポーツ中継を見て,「世界の壁」を感じる機会は少なくないと思います. 一方,科学技術の分野では,専門を問わず,世界の第一線で活躍している多くの日本人技術者・研究者が存在し,常に新しい技術を世界に向けて発信しております. このような人材は,資源も少なく,小さな島国である日本が世界トップレベルの経済大国である上で,非常に重要な役割を果たしていると思います.

   情報通信技術(ICT)の分野においても,我が国は既に世界最高水準の通信環境を実現しており,これらの技術開発においても,世界の先導的立場にあると言えます. 今後もこの現状を維持し,次の世代の情報通信技術を確立していくには,次の世代である皆さんの新しい発想や感性が重要になってくると考えております. 松浦研究室では,これまで同様,学生の皆さんが世界トップレベルの論文誌や国際会議で公表出来るような成果を目指した研究活動に取り組んで行きたいと考えております.

研究内容




皆さんもご存じの通り,光ファイバ通信は既に実用化されていますが,これらの技術と研究開発が進められている最先端技術とでは,大きな開きがあります. 例えば,商用化されている光ファイバ回線を利用したインターネットのアクセス速度は,100 M(メガ)bit/s(メガは10の6乗)程度と言われているのに対し,最先端の研究開発では,一本の光ファイバで1000 T(テラ)bit/s(テラは10の12乗)を超える伝送実験も報告されております. つまり,皆さんの普段体験しているインターネットのアクセス速度と比較して,同じ時間に100万倍を超える情報量が伝送可能な技術の芽も既に存在していることになるのです. 本研究室では,このような最新の光ファイバ通信技術に触れると共に,将来的に役に立つであろう新しい技術の研究開発を行なっていく事を目的としています. とりわけ,以下に示す3つの小テーマに基づいて研究を進めております.

  「1兆分の1秒の世界で光を制御し,情報として正しく伝える超高速光信号処理・伝送技術」

   情報を正しく目的地まで伝送するためには,経路制御などを行うための信号処理技術というものが必要になります. これまでは,電子回路による電気的な信号処理が一般的でしたが,光ファイバ回線の伝送速度の高速化が進むと,電子回路の処理速度が追いつかなくなるため,光信号を光のまま処理する光信号処理技術が不可欠となってきます. 研究室では,実際に1兆分の1秒(ピコ秒)オーダーの光信号を利用した実験設備によって,Google, Facebook, Amazonなどデータセンタで将来的に必要となる技術やIoT(Internet of Things)の発展に寄与する新しい技術の開拓を行います.

  「光技術と無線技術の特長を活かし,災害に強い無線通信を実現する光・無線融合技術」

   光ファイバ無線は,電波干渉の影響を受けない光ファイバ伝送路を介して,大容量の無線信号を任意の場所へ伝送する技術です. 光と無線の利点を兼ね備えた技術として,将来の無線通信での活用が期待されています. 研究室では,最近,光ファイバを通信回線としてだけでなく,電力線として活用する光ファイバ給電技術に関する研究に取り組んでおります.従来技術の100倍を超える電力と高速光信号の同時伝送に成功し,世界的にも注目を集めている研究を進めています.

  「短距離通信用光ファイバ伝送技術」

   光ファイバ通信と聞くと,海底光ケーブルや大都市間を結ぶ光ネットワークなどの長距離伝送を思い浮かべる人が多いと思いますが,これからは,数10m程度の距離にも光ファイバが積極的に利用される機会が多くなると考えています.例えば,家の中や車や飛行機などの乗り物の中,さらにはロボットの中などにも利用される時代が来るかもしれません.このような短距離向けの光ファイバネットワークのための光ファイバ伝送技術の研究も進めています.

   それ以外にも,今後の研究では,光ファイバ通信技術や光信号処理技術を基盤に,幅広い情報通信技術の利点を活かすことの出来るような新しいテーマにも積極的に取り組んでいきたいと考えております.

研究生活

配属された学生には,各自に机とPCを割り当てる予定です. 基本的に,研究室への出入りはいつでも出来るようにしますので,教員や配属された学生同士の交流を積極的に行って下さい. 配属後,連休明け頃から,週1〜2回のゼミを行う予定です. 前期は教科書や論文(ともに英文)の紹介,後期は自身の研究に関する口頭発表を行ってもらいます. ゼミでは,自分の発表や他の人の発表を聴くことで,研究に必要な多くのことを学ぶ大事な機会です. 毎回,メンバー全員に参加してもらいます. また,他の研究室と合同でゼミ合宿,飲み会なども適時行うことを予定しております.

   具体的な研究活動は,実験を中心に行ってもらう予定です. 配属前に特別な専門知識は必要としませんが,工作などが好きな人向きな作業が比較的多いかもしれません. また,実験に使用する素子や機器は,非常に高価で壊れやすいものが多いので,教員や先輩による指導の下,実験を行ってもらうことになります. 共用する機器も多いので,実験を行う上でのルールは厳守した上で,実験を行ってもらいます.

   研究の進捗状況については,絶えず,教員と確認を取りながら,良い結果が出れば,学外で開催される学会で研究発表を行います. 発表者は,研究を行った学生本人に行ってもらいます. 他大学の先生や企業の研究者の前で,自分の研究成果を発表することで,大きなやりがいを感じてもらえると思います. また,学部生の研究期間では,時間的にも厳しいですが,大学院まで進学する学生については,国際会議での研究発表を積極的に目指してもらいます. 原稿も発表も英語が必要となるため,大きな労力を必要としますが,様々なノウハウも学べ,今までにない貴重な経験をすることが出来ます. 将来,社会人として活躍する上での大きな自信にもつながると思いますので,是非,頑張ってもらいたいと思っています.

   実際の最近の成果では,光ファイバ通信の研究分野で世界で最もレベルの高い,アメリカ・ロサンゼルス,アナハイム,サンディエゴで開催された国際会議での学生自身による口頭発表をしてもらっています.さらに,このような世界トップレベルの国際会議において,最も高い査読評価点数を獲得した研究もあります.また,当研究室の研究成果が海外のニュースサイトや新聞による報道発表でも広く紹介されており,最近では,海外の研究者からの問い合わせの多い状況にあります.これらは全て学生自身が取り組んで得られた成果です.

さいごに

これまで,皆さんは,試験や単位取得のための勉強を中心に取り組んできたためか,物事の解釈を間違えたり,誤解したりすることに対して強い劣等感を持ちすぎているように思います. このことは,研究を進める上で必要となる「自由で柔軟な発想」や「自主的に物事を考えること」への大きな障害になっているように感じます. 確かに,間違いをそのまま放置したり,正しいと主張し続けることは良くないことです. しかし,勘違いや,正攻法ではない切り口から新しい発想が生まれる可能性もあると思っています. 研究成果は試験とは違い,正解数で評価が決まるわけではありません. 間違いや勘違いに臆することなく,地道に努力を積み重ねれば,誰にでも新しい発想や優れた成果を上げられる可能性は充分にあると思っています. そして,その成果は,卒業後,社会人として社会に貢献する上での大きな自信につながるものだと思っております.

   また,これまでの勉強は講義を受講するスタイルがほとんどであったためか,受け身の活動が当たり前だと思っている学生も多いです.この研究室では,ゼミやイベント以外はほとんど束縛される時間がない反面,自ら計画を立て,自主的に研究活動をする必要が出てきます.このような経験もこれから社会で活躍する皆さんにとって非常に重要になってくると思いますので,研究室の先輩の活動を参考に慣れ親しんでいって欲しいと思っています.皆さんが,研究というこれまで体験したことのない未知の世界に対し,強い好奇心と意欲を持って取り組み,世界に通用する研究成果を達成することを期待しています.

Copyright(c) 2012- Motoharu Matsuura All Rights Reserved. Design by Cloud template